ベルトがボロボロになる 本当に革?

1年に1回は必ず問い合わせが来る内容です。よくお問い合わせを頂戴するのが、革なのにおかしい!や、買ってから対して時間も経ってないのにすぐにボロボロになった、数回使ってクローゼットでしまって久々に出したらボロボロになっているなどです。色々ネットで検索をしても正しい回答が無くちゃんとした内容で説明もされていないので今回解説させて頂きます。

ボロボロになる原因

全部のベルトに当てはまるのではなく、こういう材料を使っているベルトだと遅かれ早かれ訪れるという内容です。何でボロボロになっているのかというと加水分解現象という劣化現象が原因でボロボロになっています。この加水分解現象は温度と湿度と使用頻度と保管の仕方で結果が全然変わってくるので一概に言えないのですが、おおよそ2~3年で発生してくると言われています。

加水分解現象って何?

加水分解現象について少し詳しく記載します。これは主にポリウレタンが使われている商品で発生します。例えば靴のソール、カバン、ベルトなど結構いろんなところに使われています。経年劣化という大きいカテゴリーの中に加水分解という現象があります。加水分解現象が起きてくると、表面がペタペタしてきます。ペタペタしてきたらもう寿命はそんなに長くはありません。スニーカーであればソールが分離したり、ボロボロとカスが出てきたりしますし、ベルトやカバンであればペタペタしてきてそのまま進行していくとひびが入ったりしてきます。経年劣化なのでこれは防ぎようがありません。

100円ショップのベルトは傷みが早い(-_-;): アラフィフの貧乏生活ブログ〔オートバイ、自転車、貧乏料理?〕blog

経年劣化のタイムラグ

買ってからの時間があんまり経ってないのに、わりとすぐ劣化してしまう理由ですが、店頭に陳列されるまでの流れが関係します。

  1. 材料が生産されたのはいつなのか
  2. 工場で生産してメーカーに出荷
  3. メーカーにベルトが入荷
  4. メーカーから小売り指定倉庫orセンターにいつ出荷されたのか
  5. 小売り指定倉庫orセンターから店頭にいつ出荷されたものなのか

購入できる状態になるまでの時間が長く、店頭に陳列されてから購入されるまでの時間となるともう誰にも読めません。誰が悪いとかそういうものではありません。

ベルトの構造

世の中に出回っているベルト大きく2つに分けてみます。下記の図はベルトの断面図を簡略化したものです。

①加水分解現象が起きるベルトの断面図

スプリットレザーと呼ばれる加水分解現象が発生するベルトの断面図はこのようになっています。イメージ的なものでとらえてください。加水分解現象は一番上のポリウレタンの層が劣化している状態です。実は販売されているときの見えている部分は革じゃないんです。

②加水分解現象が起きないベルト

吟付きの革と呼ばれる加水分解現象が発生しないベルトの断面図はこのようになっています。世の中に出回っている革のベルトが全て②のような構造の商品であれば加水分解現象は発生しませんが残念ながらそういうわけにはいきません。単純にこの構造だと原価が高いためです。

知っておいて欲しい事

世の中の流れ的なもの

加水分解現象が起きないものが欲しいとなると思いますが、今後ますます難しくなってくると思います。知識としてこういう現象があるんだというのを知っておいてください。SDGsやサスティナブルをうたった商品が今後増えてきます。環境を守るため動物の革を使わない製品がハイブランドを中心に広がっているので、その流れはすべてに波及するためスプリットレザーや合成皮革を使用した商品が今後10年以内にますます増えます。なるべく革に近いものを目指して素材開発が行われるので、見ただけだと10年以上携わっている私でも本当にわかりません。品質表示を見て判断してください。

スプリットレザーのメリットとデメリット

スプリットレザーのメリットは素材を無駄なく使えるのと革のキズも無いため、コストを抑えやすくロスを減らせるのと色落ちの心配がありません。悪いものではないんです。デメリットとしては数年でボロボロになってしまうところですので5年以上使うものではなく消耗品の扱いです。

加水分解現象が起きない革、業界では吟付きの革と呼びます。吟付きの革のメリットとしては、手入れをすれば壊れるまでずっと使えることです。デメリットとしてはデリケートな素材なので丁寧に扱う必要があるのと、色落ちするという点、ロス率が高い為原価が高い事です。量販店で吟付きの革があまり取り扱ってないのは大量生産に向いていないのと、色落ちのクレームが発生する率が高まるからです。

どっちの観点で商品が欲しいのかで買うもの、買うところを判断してください。

ベルトの見分け方

スプリットと吟付きの革のベルトの見分けは非常に難しいです。目安としては軽くベルトを屈曲させたときに小じわが入るかどうかが一つポイントです。全部のベルトに適応はできないですが、おおよそそれで判断できるのではないでしょうか。自分の皮膚を軽く摘まむとシワが入ると思います。軽く屈曲させるとそういうシワがベルトに入ります。逆に小じわがあったり血筋が見えてるベルトは吟付きの高い革であることの証明でもあります。あとは価格が4000円以上で販売されているものが多いと思います。販売されているお店の原価率によってここは大きく左右されるためやはり知識が必要です。

ここのお店のこの商品と一つ一つ記載するときりがないので、吟付きベルトが売っているところをご紹介すると、一つは百貨店の什器にかかって売っているベルトです。価格は高いですが、ちゃんとしたベルトはそれくらいします。高いものがいいんじゃなくて、いい材料を使うと高くなるんです。安い居酒屋のチェーン店と小料理屋でクオリティが違うのと同じ感じです。

ただその良いものは高いという概念を思いっきり壊してきたのがユニクロです。

イタリアンレザーステッチベルト ¥2,990

イタリアンオイルドレザーベルト ¥2,990

2,990円でイタリアレザーを使用した吟付きベルトは反則過ぎます。これ以上のコストパフォーマンスの高いベルトは現状存在していないと言えるくらいのレベルです。通常の小売り業界の値入率だと考えられません。相当原価が高いと思います。

まとめ

今回は加水分解現象とベルトの構造に関しての解説でした。知識として知っておけばびっくりすることもないし、安いからこうなるという単純なものではないことを知ってもらえるといいなと思いました。

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